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映画「Behind the sun」(原題「Abril Despedaçado」) 

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 私のホドリゴ君見たい病は、加速をつけ始め、今度は、「Behind the sun」のDVDを買ってみました。

【あらすじ】
舞台は、1910年のブラジル。
土地の境界線を争う2つの家。フェレイラ家とブレヴィス家。2つの家は、血で血を洗う歴史を繰り返していた。やられたらやり返す、仇討ちを繰り返す歴史・・・
ある日、ヴレヴィス家の長男が、フェレイラ家の長男に銃殺される。そして、その時に着ていたシャツの血が、黄色に変色したとき、ブレヴィス家のものは、長男の仇を討つ事を許される。20才の次男トーニョは、父に兄の仇討ちをするように言われ、朝早くフェレイラ家に忍び込み、相手を銃殺する。しかし、この事は、同時に、そのシャツの血の色が変わったとき、自分の命が狙われる事を意味していた。
 ヴレヴィス家は、サトウキビを引いて砂糖にして細々と暮らしていた。ある日、三男が外で作業をしていると、見知らぬ男女に道を聞かれる。美しいその女性は、三男に一冊の本を与える。人魚姫が書かれたその絵本を三男は、憧れを持って眺め続ける。トーニョは父と街に出た際に、その女性がサーカスの一員だという事を知る。三男は、サーカスを見たがり、その晩、兄弟は両親に内緒で見に行く。
 サーカスの妖しく楽しい世界は、兄弟たちにとっては初めての経験だった。サーカスに行ったことを
父にとがめられ、トーニョは家を出て、サーカスの少女クララのもとを訪ねて、他の街まで着いていく。
 死の待つ家族の居る家か、外の世界か・・・トーニョは悩むが、再び家に戻る。そして、あのシャツの血が黄色に変わる時が来る・・・・

【感想】
 暗い話なのは百も承知で、ホドリゴ君見たさに買った映画なので、途中つまらなくなるかと思ったら、すっかり引き込まれて見てしまいました。
 いくら1910年の話とはいえ、あまりに理不尽な親の言い分に驚きと怒りと悲しみで、胸がいっぱいになりました。兄のように、復讐を遂げ、また仇を討たれるのが、誇り高き生き方だという父。それを20才の青年に強いるなんて、今の時代では考えられません。てっきり、相手を殺すかどうかでトーニョが悩む話だと思っていたので、あっさり殺してしまったトーニョに衝撃を受けました。
 殺伐とした環境と、砂嵐が吹くような荒れた大地。この2つが余計に、この暗い影を落とした両家を象徴しているようでした。
 トーニョは殺しておいて、相手のお葬式に出向き、血の色が変わるまでの猶予をもらいます。これも不思議。殺しておいて、死者に敬意を払うなんて、考えられません。
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長男に肩車をしてもらっている時に、兄を銃殺された末っ子の弟は、トーニョに、自由の身になってほしいと心から願います。この末っ子、何故か名前もなく、「坊や」と呼ばれています。そのことになんの違和感も持たない坊や。この子が、外界との縁が全くなかった事が分かります。
 この子の演技が素晴らしい。こんなひどい家族なのに、兄を愛し尊敬している坊や。クララからもらった綺麗な絵本を読めないのに、想像しながら、楽しい話を考え話す坊や。どれだけ今の生活から逃げたかったことか・・・
 そして、殺されるのを待つだけのトーニョの暗い瞳が、サーカスを見た瞬間、キラキラと輝きを持つシーン。そこが、この日本版のDVDのパッケージにもなっています。
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ここで出会ったクララのファイアーダンスに、子供のように明るい顔で、ワクワクしながら見るトーニョ。
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坊やにクララが、人魚姫に見えたように、トーニョにも彼女は何かに見えたのでしょうか。きっと天使のように神々しく感じたのではないでしょうか。
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初めて家から外の世界を見たトーニョ。クララも自由になるためには、自分から行動しないといけない事に気づいたようです。
 クララが自由を感じるシーンは圧巻です。単なる上からぶらさがった綱に、ひょいと上っていき、下にいるトーニョにぐるぐる回してもらいます。昼から夜までぐるぐる回したような演出になっていましたが、本当にそういう設定だったのかしら。
 でも、そこでトーニョは、クララが継父の束縛から逃げられないカゴの鳥だと気づき、あの暗い死が待つ家に戻るのです。
 そして、嵐の夜。自由を勝ち取ったクララが、トーニョの家を訪れ、2人は結ばれます。それを嬉しそうに見守る坊や。
 何も知らない坊やなのに、この2人が愛し合った事を知り、けなげにもトーニョのふりをして、フェレイラ家の息子に討たれます。ここが、すごく切ない。胸が痛くなりました。トーニョが死んでも自分がその後、殺しに行かなくてはならないのを知っている坊やが、選んだのは、幸せなトーニョと憧れの人魚姫が結ばれるという物語の結末。相手が目が悪かったために、坊やは銃殺されてしまいます。
 すぐに追いかけて仇討ちするように言う父を無視して、何かに取り憑かれたようにトーニョが向かった先は、クララのもとでもなく、海。海にたたずみ、そこでこの映画が終わります。
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トーニョが、坊やの後を追って、入水自殺するのかとヒヤヒヤしてみていました。この先は、誰にも分かりません。でも、坊やの心意気をくんで、海に生きる事を誓ったのではないかと私は思いたいです。
 人魚姫が迎えに来て、さかなとなって海中で幸せに暮らす事を夢見た坊やの姿が見えたのかも知れません。抽象的な終わり方に、余計に引きずられてしまいました。坊やの気持ちを考えると、どうしても納得できないし、釈然とできません。この小さい子供の行動によって、両家の憎しみの歴史に終止符が打たれるなんて!今まで立派な大人がいた中で、こんな事に気づけなかったなんて!一体どういう事でしょう。家族を愛するとはどういう事か、坊やの行動で母親は気づいたようです。皮肉なものです。愛するがために死んでいく家族。そんな愛し方があっていいわけありません。
 
 全編を通じて、ホドリゴ・サントロの美しい瞳に釘付けでした。悲しみと絶望に満ちた瞳が、クララに会った事で、本来の年相応の輝く瞳を取り戻した時の顔が、忘れられません。
 ひたすら綺麗なだけの俳優さんでない事を、彼の作品を見れば見るほど、思い知らされます。全編、汚い格好で、顔も泥だらけにしていても、あの美しさを隠せるはずもなく、彼の美しさを逆に引き立てたような不思議な感覚に陥りました。
 辛く哀しい話だけど、きれい事ですまさない所に、リアリティーを感じ、引き込まれて見ました。坊やとホドリゴ君の素晴らしい演技に拍手です。
 でも次は、やっぱり彼の色気を感じられるラブストーリーが見たいな。

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